知らない間に法令違反!? 温泉設備の定期点検義務と罰則まとめ
温泉施設を経営していると、「なぜ定期的な点検が必要なのか」「どんな検査をしなければならないのか」と疑問に思うことはありませんか?
実は、温泉施設には法律で定められた設備の点検義務があり、これを怠ると重大な罰則を受ける可能性があります。
この記事では、温泉設備の定期点検義務について、関連する法律から具体的な点検内容、違反した場合の罰則まで詳しく解説します。
温泉施設に課せられる法的な管理義務とは?

温泉や公衆浴場を運営する施設には、お客様の安全と健康を守るため、さまざまな法的な管理義務が課せられています。これらの義務を理解することは、施設運営の第一歩です。
まずは、温泉施設を規制する法律とその内容について詳しく見ていきましょう。
温泉施設を規制する主な法律
温泉施設は複数の法律によって規制されています。
公衆浴場法(厚生労働省管轄)では、浴場の衛生管理や設備基準が定められており、温泉法(環境省管轄)では温泉の採取や利用について規定されています。また、旅館業法(厚生労働省管轄)では宿泊施設としての基準が設けられています。
さらに、各地方自治体が定める公衆衛生条例も重要な規制となります。これらの条例は地域の特性に応じて設けられており、国の法律に加えて遵守する必要があります。
温泉経営者は、これら全ての法令を把握し、正しく対応しなければなりません。
定期点検の具体的な義務内容
これらの法律では「定期点検を年に○回行うこと」といった具体的な義務が定められています。
例えば、設備の点検は年に1回以上、レジオネラ菌の検査は年に1〜4回(自治体により異なる)実施する必要があります。また、点検結果や検査結果は一定期間保存することも義務付けられています。
特に重要なのは、これらの記録を正しく管理し、行政機関から求められた際には速やかに提出できる体制を整えておくことです。記録の不備や紛失も法令違反となる可能性があるため、日頃の管理体制を再確認しましょう。
未実施の場合の法的リスク
定期点検や検査を怠った場合、まず行政指導や勧告が行われます。それでも改善されない場合は、営業停止命令や施設名の公表といった重い処分が下される可能性があります。最悪の場合、刑事罰を受ける可能性もありますので注意が必要です。
こうした法的リスクは、施設の信頼性や経営に深刻な影響を与えます。一度失った信頼の回復には時間がかかるため、予防が重要です。
どんな点検・検査が必要なのか?

温泉施設に義務付けられている点検・検査は多岐にわたります。それぞれの項目について、具体的にどのような内容を実施する必要があるのかを理解しておくことが大切です。
以下では、主要な点検・検査項目について詳しく解説します。
ろ過装置・循環系統の点検
ろ過装置・循環系統の点検では、ろ材の交換、フィルターの清掃、ポンプや熱交換器の動作確認などを行う必要があります。
ろ材は使用状況により3〜5年での交換が推奨されており、フィルターは定期的な清掃や交換が必要です。ポンプの動作確認では、異音や振動の有無、圧力の変化などをチェックします。
熱交換器についても、効率的な熱交換が行われているか、腐食や劣化がないかを確認することが重要です。
レジオネラ菌等の水質検査
レジオネラ菌等の水質検査は、温泉施設にとって最も重要な検査の一つです。
最低でも年1〜4回(自治体による)の検査が義務付けられており、基準値を超えた場合は速やかに保健所への報告が必要になります。レジオネラ菌は肺炎などの重篤な感染症を引き起こす可能性があるため、この検査を怠ることは許されません。
検査の頻度は自治体によって異なりますが、多くの地域では年4回(3ヶ月ごと)の実施が求められています。検査結果は必ず記録し、一定期間保存しておくことも重要です。
塩素濃度・pHの記録と源泉成分分析
塩素濃度・pHの測定と記録は、多くの自治体で毎日の実施が求められています。
これらの数値は水質管理の基本的な指標であり、適切な範囲を維持することでお客様の安全を確保できます。帳票の未提出は違反とみなされることがあるため、継続的な記録と保管が必要です。
また、温泉法により10年ごとに源泉の成分分析を行い、再申請することが義務付けられています。成分の変化は温泉の効能や安全性に関わるため、定期的な分析は欠かせません。
点検未実施・記録漏れによる罰則・ペナルティ

定期点検や記録の管理を怠った場合、どのような罰則やペナルティが科せられるのでしょうか。
法令違反のリスクを正しく理解することで、正しく対応することの重要性が分かります。
行政処分の種類
法令違反が発覚した場合、まず保健所からの是正勧告・指導が行われます。
それでも改善されない場合は、営業停止命令が出される可能性があります。さらに、都道府県の公表制度により施設名が公表されれば、信頼性に大きな影響を与える可能性があります。
営業停止処分を受けると、その期間中は営業ができなくなり、施設運営に深刻な影響が出てしまいます。売上の損失だけでなく、スタッフの雇用問題や既存の予約キャンセルなど、さまざまな二次的被害が発生する恐れがあります。
刑事罰のリスク
公衆浴場法第12条により、法令違反には刑事罰も定められています。最悪の場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。これは行政処分とは別の刑事責任であり、経営者個人が罰せられることになります。
刑事罰を受けると、施設の信頼性が著しく損なわれるだけでなく、経営者自身の社会的信用も失うことになりかねません。このようなリスクを避けるためにも、日頃からの法令遵守が重要です。
違反した場合の影響は?
実際に、レジオネラ菌の検査未実施や基準値超過を報告せずに営業を続けたことで、営業停止や利用者感染などの大きな問題に発展した事例があります。
一度事故が起きれば、施設名の公表により信頼が大きく失墜し、口コミやメディアで拡散されると客足が遠のいてしまいます。
施設のイメージ回復には長期間を要し、結果として経営に深刻なダメージを与えることになります。最悪の場合、廃業に追い込まれることもあるため、定期点検の徹底と法令遵守は絶対に欠かせません。
責任は施設側に問われます!

温泉施設の管理責任は、どこまでが施設側の責任なのでしょうか。
外部業者に点検を委託していても、最終的な責任は施設の運営者にあることを理解しておきましょう。
外注業者任せでも責任は施設側
外注業者に設備の点検や清掃を依頼していても、「管理責任」は運営側にあります。外注で点検・清掃を行っていても、報告書の提出や保存義務は施設側が負わなくてはなりません。業者から提出された報告書の内容を確認し、きちんと保管することも重要な責務となります。
また、業者が必要な資格を持っているか、点検内容が法令に適合しているかなども、施設側が確認する必要があります。業者選びから報告書の管理まで、最終的には施設側に責任があることを意識しておくことが大切です。
施設管理者に必要な知識
設備のプロに任せるのは良いことですが、管理者や従業員でも普段から正しい施設管理ができるような基本的な知識は必要です。
例えば、日常的な清掃方法、異常の早期発見方法、緊急時の対応手順などは、現場スタッフが理解しておくべき内容になります。
専門的な作業は業者に依頼するとしても、日常管理や基本的なトラブル対応は施設内で対応できる体制を整えることが重要です。そのためには、定期的なスタッフ研修や情報共有が欠かせません。
法令遵守のための体制づくり
点検スケジュールの管理、記録の正しい保存、スタッフ教育など、法令遵守のための体制づくりも重要です。
点検漏れを防ぐためのチェックリストの作成や、記録保存の仕組みの構築なども必要になります。また、法令の改正情報を定期的にチェックし、常に最新の基準に対応することも大切です。
温泉管理システム「ココチー」「ラクチー」で効率的な施設運営を

温泉施設の日々の管理業務は複雑で、人手不足の中では大きな負担となっています。当社の温泉管理システム「ココチー」「ラクチー」なら、24時間の遠隔監視や自動制御により、スタッフの負担を大幅に軽減できます。
結果として法令で求められる点検や記録管理の時間も確保しやすくなり、年間数百万円のコスト削減に成功した施設もあります。効率的な温泉経営を実現するために、ぜひシステム導入をご検討ください。
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